東京地方裁判所 昭和39年(ワ)3077号 判決
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〔判決理由〕訴外会社が原告等から買入れたポリエチレン材料を訴外佐野ポリエチレン株式会社に対して昭和三八年七、八月頃から原価の四割乃至五割安値で投売したことは、……によつて、訴外鈴木に対して、原告等より買入れた時価キロ当り一五〇―一六〇円相当のユカロン等を昭和三八年七月頃から一二〇―一三〇円の安値で投売した事実は……により、訴外会社が数社の架空会社を設けて、原告等主張の如く、帳簿上操作し、不当の利益を収めていた事実は……により、訴外会社は倒産発表の前日である昭和三八年一一月二一日に原告光南工業株式会社よりユカロン一、〇〇〇キロ、一六二、〇〇〇円相当を買入れたことは、……によつて、訴外会社が倒産直前被告の親族等訴外村田とよ、同島村忠子訴外梶田操に計二、五五〇、〇〇〇円を支払つた事実は……により、それぞれ認めることが出来る。訴外会社の合成樹脂部門担当の従業員訴外土森が原告等から買入れたポリエチレン材料を被告には無断で原告等主張の如くダンピングをし、架空会社を設け不当に私利を収めていた事実及び、これ等訴外土森が不正を行なつていた事実を被告が代表取締役として訴外土森から営業報告を受け帳簿検査を自ら行なつていたが、右土森の手腕を信頼していた関係もあり昭和三八年一一月頃まで気付かなかつた事実は証人佐野勇、同鈴木俊雄、同土森義文の各証言、および被告本人の供述により認めることが出来る。
右事実を統合すると被告に原告等に後記損害額に相当する損害を与えるについて不法行為者として故意又は過失を認めることは出来ないが、被告が訴外会社の代表取締役でありながら約半年間に亘る訴外土森のダンピング、架空会社の設立横領等の不正を、倒産直前まで観破することが出来ず原告等に後記損害を与えた事は被告に訴外会社の業務執行につき重大な過失があつたものというべきである。
よつて被告は職務を行うにつき重大な過失により第三者たる原告等に損害を与えたものとして有限会社法第三〇条ノ三の責任を負うべきである。(石田哲一)